就職につなげたい ヘルパー2級資格を障害者が受講

2009/08/27

就職につながる資格を習得しようと、知的障害者が県のホームヘルパー2級養成講座を受講している。和歌山県によると、130時間の講習を修了することで、働くために必要な社会生活の基本も身に付き、就労に結びついているという。紀南会場では14人が参加し、技術の習得や学習に励んでいる。


 養成講座は、2005年度に始まった県の研修事業。ホームヘルパー2級の資格を取得すると、養護老人ホームや在宅介護の派遣業務に携わることができる。

 初年度の講座は3級だったが、06年度からより就職につながりやすい2級も開講。07年度から2級のみとなった。毎年約30人が修了している。

 県障害福祉課によると今年4月1日現在の調査で、修了生のうち一般就労(福祉職以外も含む)している人は、06年度修了生で46%と約半数。05年度修了生は18%、07年度修了生は36%、08年度修了生は26%だった。この講座を機にさまざまな訓練事業を受講し、数年後に就職に成功する修了生が多い。

 特に2級の場合は、資格取得に必要な講習が130時間で、3級(50時間)に比べて講習時間が長い。やり遂げることが障害者の自信につながり、無欠勤や時間厳守など、就職に必要な社会生活も身に付くという。

 本年度は、県の委託を受けて、ふたば福祉会が紀南会場(田辺市)で、社会福祉法人一麦会が紀北会場(紀の川市)で、研修を実施している。

 紀南会場には田辺市や白浜町、すさみ町などから16〜43歳の14人が参加している。研修期間は約2カ月で、講義や施設実習を通じて学ぶ。現在、ベッドメーキングや体位交換などの実技、高齢者に多い病気の特徴などの講義を受けており、9月から施設実習に入る。

 このほどあった医療の基礎知識を学ぶ講座では、尿失禁の種類や寝たきりが続くことで起きる症状などの専門知識を習得。受講している有田市の高関達矢さん(18)は「講座は排泄介助や衣服着脱など、勉強になる内容が多い。将来は老人ホームで働いてみたい」と話した。

働きながら介護資格

 県が人材不足解消と就労支援

 雇用情勢の悪化を逆手に、介護の人材不足解消を図ろうと、県は失業者が介護現場で働きながら、資格を取得できる就業支援事業に取り組む。2009年度から3年間で100人の雇用を目指す。

 国のふるさと雇用再生特別基金を活用した制度。採用者には介護事業所で6カ月間の雇用を保証した上、勤務時間中にホームヘルパー2級取得に必要な講習を行う。受講は無料。期間中は月額15万2000円の賃金支給がある。

 2008年度の介護関係の有効求人倍率は2.7倍で、全産業の0.75倍を大きく上回っている。それでも人材不足が解消されないのは、求職者の多くが介護の資格を持っていない人材のミスマッチにあるという。

 県の支援制度では、雇用した介護事業所に対し、県が委託金として賃金を支給する。事業所は資格取得に必要な費用を負担するが、人材確保の面で、雇用期間中に適性を見極めた上、正規雇用するか判断できる利点がある。

 就業希望者も現場を体験しながら自身の適性を判断できる。正規採用に至らなくても、資格を取得することで、就業機会が広がる。

 09年度の雇用予定は40人。応募は31日まで。雇用期間は10月1日〜来年3月31日。勤務希望地が御坊市以南の場合は紀南福祉人材バンク(0739・26・4918)へ申し込む。


【専門用語の意味などを講義で学ぶ参加者(和歌山県田辺市湊の市民総合センターで)】


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