健やかわかやま:「輝楽魂やすらぎの家」発足から9カ月 /和歌山 2009/07/18

お年寄りが地域で健康に暮らすことを目指し、いきいきサロン「輝楽魂(きらくたましい)やすらぎの家」が和歌山市南出島で発足して9カ月。運営する市民団体「みんなで、はーとtoわん」の代表、北山尋唯さん(41)と副代表、川島弥寿雄さん(34)はいずれも障害者で、「利用者の視点から本当に必要とされる介護を提供していきたい」と夢を語る。

 北山さんは91年、突然意識を失った。小脳静動脈奇形が見つかり、和歌山市内で入院。1カ月後に集中治療室を出たが、左半身まひや言語障害が残った。川島さんも18歳のころ、バイク事故で脊椎(せきつい)を損傷。右手足や言語に障害などを抱える。

 2人はリハビリテーション施設で出会った。当初は互いの言葉が理解できないこともあったが、「必ず社会復帰して、人の役に立てることをしよう」と誓った。

 北山さんはホームヘルパーの資格を取得。大阪府内の作業所に通所していた川島さんを誘い、市内の高齢者福祉施設に勤務した。「利用者はそれぞれ性格も違うし、生きてきた環境も違う。もっと一人一人のやりたいことを尊重できるサービスが必要ではないか」と考え、サロンを運営する団体「みんなで、はーとtoわん」を立ち上げた。

 やすらぎの家は月〜土曜の午前10時〜午後4時、開放される。利用会員はチケット制で好きな日時に来て、カラオケや風呂、ゲームなどを楽しむほか、月1、2回は観劇や買い物などに出かける。ボランティア会員(笑顔提供会員)によるマッサージや散髪などのサービスも受けられる。

 川島さんは指遊びやお手玉、健康体操などを指導。昨年はほとんど動かなかった右足や腕の可動域が広がったという。「自分がやりたかった仕事が見つかり、事故を悔やむこともなくなった」と充実感をにじませた。

 開設当初から利用する和歌山市の宮本寿子さん(90)は「ここに来れば愉快な気持ちになれる。感謝しています」とにっこり。

 北山さんはお年寄りやボランティア会員の様子を見て回り、気を配る。「仕事が生きがい。お年寄りにも元気になって、生きがいを見付けてもらいたい」という。

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